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February 02, 2006

連載コラム第15回「スキル・キャリアと比例しない影響力の怖さ」をヒューマンリソシアホームページにて公開(2/1)

今回はBREWに関する話題を離れまして、RunDog.orgの最新動向です。
既報「ご愛読感謝!ヒューマンリソシア「ITコンサルタントコラム」が2年目に突入(12/5)」で紹介しましたとおり、前職の頃からつきあいのあった人材派遣、正社員紹介の会社である「ヒューマンリソシア」のホームページにおいて、2004年12月1日にオープンしたテクニカルサイトで、コラムを連載しています。
「求められるスキル・資格とその実情~ システム分析から運用まで ~」というテーマで、私のソフトウェア開発企業でのエンジニア、プロジェクトマネージャ、採用担当者などの経験をベースに、昨今の情報を盛り込んでいくことで、今、求められているスキル・資格とその実情を、毎回テーマを決めて述べてみたいという趣向です。

先日、その第14回「同じことの繰り返しに潜む大いなるリスク」と第15回「スキル・キャリアと比例しない影響力の怖さ」が公開となりました。
今回は正月をはさんだこともあり、この半月で2本を公開したことになります。
第14回「同じことの繰り返しに潜む大いなるリスク」では、「変化を避けることでリスクの撲滅を図ることの危険性」を、第15回「スキル・キャリアと比例しない影響力の怖さ」では、「無意識のうちに周囲の人に影響を与えたり、周囲から影響を受けたりすることへの着眼」について述べてみました。
下記にてお読みください。

「ITコンサルタントが語る必要スキル - ヒューマンリソシア」
http://tec.resocia.jp/column_it/index.html

※ 2015/8 追記 上記サイトの移転再編に伴い、このコラムにアクセスできない状態が続いていますので、このブログに本文を掲載することにしました。なお、資格名などは掲載当時のものであることをご了承ください。

第14回 同じことの繰り返しに潜む大いなるリスク

 私が尊敬しているプロデューサーで小説家・作詞家・脚本家でもある広井王子さんは、ある時「舞台は怖い。でもその怯えこそが大事」というようなことを書かれていました。私も知人の小さな舞台をちょっとだけ手伝ったことがありますので、舞台の怖さは少しだけ知っています。そして、私は、この言葉は舞台に限らず、大事なお仕事において常に通用する言葉なのではないかと考えています。というのは、「○○は怖い」というリスクの認識の仕方と、そのリスクを低減する方法を誤った結果、より大きなリスクを招いたり、致命的なミスを犯す例が、あまりにも多く見受けられるからです。
  今回はこのリスクの低減において犯しやすい誤りについて述べてみましょう。

 舞台でも、ITシステムでも、新しいことや環境の変化には、リスクが付き物です。よって、リスクを少しでも減らしたいと考える人は、まず、環境の変化をできるだけ小さく抑えようとする傾向があると思います。このこと自体は誤りではありません。例えばシステム開発であれば「ニーズと緊急性が高いシステム変更を局所化し、それ以外の部分は、正しく動く既存のシステムがあればそれをできる限りそのまま用いる」という方法論は、一般的であり当然の判断でしょう。
  しかし、変化を避けることでリスクの撲滅を図るのは、時にはお勧めできない場合があります。変化することへのリスクに比べると小さく見えますが、変化を避けることにも明らかにリスクがあるからです。特に「毎回、同じことの繰り返しにしてしまえば、リスクはゼロ」という考え方は非常に危険です。なぜなら、私たちを取り巻く世界は常に変化しているからです。
  どんなに、経年変化が小さいように見えるビジネスであっても、よく観察すれば変化があるはずです。そして時には、表面は変わってなくても深層に大きな変化が隠れている場合もあります。私が聞いたことのあるプロジェクトの失敗事例の中には、この深層の変化を見落としたことが、失敗原因の一つになったと思われるものがいくつもあります。

 では、どう考えれば良いでしょうか。最初に述べた言葉をそのまま用いると「変化は怖い。でもその怯えこそが大事」ということに加えて、「変化しないことはもっと怖い」ということになると思います。正確には「変化していないように見えることが一番怖い」とも言えるでしょう。特に、長期間のプロジェクトやシステム運用管理に関わっている方は、毎日の仕事についつい慣れてしまいがちです。その結果、過剰適応状態となり、極端な場合、変化そのものを否定して「見なかったことにする」という巨大な落とし穴にハマってしまうことすらあります。
  長期間のプロジェクトやシステム運用管理の仕事には、自分のスキルをじっくりと高めることができるというメリットがあります。このような仕事を目指す方には、このメリットを生かすために、あるべき「怖さ」と大事な「怯え」を心に留めておくことをお勧めします。そして、このことは、実は他の多くのお仕事にもあてはまると思うのです。

第15回 スキル・キャリアと比例しない影響力の怖さ

 これだけ経済が複雑化している現代にもかかわらず、「カリスマ」と呼ばれるような企業経営者の一言によって、市場が大きな影響を受けたというニュースをよく耳にします。中には、言った本人が「こんなに影響が出てしまうなんて!」と驚くような事態を引き起こしてしまうことも、少なくないようです。特に、ITのような新技術が次々と登場する業界では、新しい「カリスマ」が次々と登場するだけではなく、企業の内側やネット上のコミュニティーに「小さなカリスマ」が現れる現象が見られやすいようです。そこで、今回は、この魅力的で怖い「影響力」について考えてみましょう。

 一般論で言えば、仕事においても趣味の世界においても、経験年数の多い人が少ない人に対して影響力を持ちます。言い換えると「キャリアに比例した影響力」ということになります。例えば、新入社員や初心者は、ベテランや経験豊かな人の影響を受けずに済むことはまずないと言ってよいでしょう。そして、経験年数の差が小さい場合は「スキルに比例した影響力」が現れます。この場合の「スキル」は社内における肩書きや、社会的な地位や保有資格など広い意味で考えてください。時には、キャリアよりも、スキルの方が影響力につながりやすい場合も多いでしょうし、年功序列型の企業が減っている昨今では「スキルに影響力が比例する」のが一般的になりつつあるかもしれません。

 話をビジネスの現場に限定して考えてみましょう。課や支店のような固定的な組織では、どちらかというと「キャリアに比例した影響力」が働き、プロジェクトチームのような流動的な組織では、どちらかというと「スキルに比例した影響力」が強く働く傾向があるようです。特にIT系企業では、仕事の進め方として、プロジェクトチーム制を採らざるを得ないことが多いので、結果的に「スキルに比例した影響力」が働きやすいとも言えるでしょう。よって、プロジェクトリーダーやチームリーダーは、自己のスキルによってメンバーに影響力を与えるとともに、メンバー間の関係において「誰が誰に影響を与えているか」「どういう人が影響力を持っているか」をスキルを図る目安にしたり、スキルの差を影響力として想定することで、プロジェクトの運営を円滑化しようと試みることが多いようです。

 ところが、この考え方が時には大きなトラブルの元になることがあります。例えば、あなたがチームリーダーの立場だとしましょう。「AさんもBさんも、自宅のパソコンに関する相談をCさんにしている」という現象をみて、Cさんのスキルを高めに想定しておくことは、チーム運営の判断材料の一つとしてなら意味があるでしょう。しかし、実は無意識のうちに高めのウェイトをおいてしまい「なんとなくCさんのスキルは高そう」が「高いに違いない」となっていることがあるのです。この考え方がパターン化すると危険です。例えば「そのCさんの言動は、Dさんの影響を受けやすい」という、本来、スキルとは無関係なことまでもが、あなたの判断材料に盛り込まれやすくなってしまいます。その結果、「ということは、DさんのスキルはAさんより高いんだな」という実は根拠のない判断をしてしまう危険性があるわけです。こうなる前に、「スキル・キャリアと比例しない影響力の怖さ」を思い出しましょう。この例でいえば、AさんのスキルとDさんのスキルを比較できる判断材料は、実際には無いに等しいのです。

 実際のところ、他人に影響を与えたいタイプの人もいれば、逆に、与えてもらいたいというタイプの人もいます。しかも、同じ人でも「パソコンのことなら教えたがりだが、ファッションは他人の意見に従う」というように、ジャンルによって異なることは珍しくはないでしょう。また、無意識のうちに周囲の人に影響を与えたり、周囲から影響を受けたりすることも多いと思います。これらが全て、趣味の話ならかまいませんが、仕事においてもよくある話なのです。

 よって、あなたが例えチームリーダーの立場ではなくても、自分が周囲に与えている影響や、受けている影響をできる限り把握しておき、また、周囲の誰が誰にどういう影響を与えているのかを観察してみましょう。そして、それらの影響力が、スキルやキャリアと比例しているかしていないかを考えておくことをお勧めします。そうすれば、あなががチームを率いる重要な立場に立った時に、良いチームワークを築く一つのヒントになると思うのです。

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