2011年の終わりに寄せて
今年もお世話になりました皆さま、ありがとうございました。明年もランドッグ・オーグ平野正喜事務所を宜しくお願い致します。
今年は、某社における情報処理試験対策教材の作成と収録に追われる中で、オーム社から応用情報試験対策本の執筆依頼をいただき、アタフタと、そして気合に満ちてスタートしました。
しかし、3月11日の大震災があり情勢も気持ちも一変しました。私はこの日、高田馬場(東京都新宿区)のゲームカレッジで製作指導をしており、担任の先生とのちょっとした打合せ中でした。受講生諸君と西戸山公園に避難してから校内に戻り、揺れの続く校内で朝まで待ち、放映スケジュールの都合で延期できないという収録のために池袋まで歩きました。
この時、すでに各種の報道で東北の被害が非常に大きいこと、きっと、日本中の支援が必要になることはわかっていました。余震で中断することを覚悟しながら収録をこなし「これからどうしよう」といろいろ考えた覚えがあります。
私は、講師と作家を肩書としており、現在のところ、長年覚え親しんだITを得意分野にしています。しかし、私はコンピュータの世界にハマったのは18歳(大学1年生)からであり、その数年前から作詞家を目指して物書きの練習に励んでいました。そのこともあって、一昨年、日本劇作家協会に入会させてもらい、ITの作家だけではなく、劇作家として子供の頃の夢だった「物書き」になることを50代の目標にすることにしたのでした。
震災後、原発事故が明らかになり、この国難がどんなに大きなことか思い知るにつれ、IT教材の作成と収録を続けることが苦痛になり「こんなことしていていいのか」と悩む日々が続きました。非力ながらボランティアに向かい、ガレキの一つも担いだ方が良いのではないかと想ったり、あるいは、今こそ、劇作家として人々の心を癒す作品を書くべきではないか(そう簡単に書けるわけがありませんが)とあせったりしました。
そんな4月、オーム社で私を含む3人の筆者と編集の皆さんのキックオフがあり、かなり多くの要素において書き手の自由度を認めてくださることで、応用情報試験対策本の執筆を開始することになりました。しかし、私が想定した内容と物量を一人で仕上げるには全力でも半年以上かかると思われました。
この時、私が思ったのは「やはり、これしかない、これが使命なんだ」ということでした。震災で打撃を受けた我が国の国力を復興するために、私ができる数少ないことの中で、最も効果的であり、しかも、有難いことに本として日本中に届けてもらえるのですから、これに全力をかけることにしました。
物書きの方はご存じの通り、本は完成するまで収入が得られないため、完成までは他の仕事で糊口をつなぐ必要があります。幸い私は講師業があり、今年は震災の影響による減少もありましたが、新しい講座の依頼もいただき、なんとかなりました。しかし、新講座の準備に追われる中で応用情報試験対策本の執筆時間をねん出するという綱渡り状態でした。よって、必然的に劇作家は「開店休業」状態になりました。
そして12月、お陰様で拙著「応用情報技術者試験合格テキスト」は世に出してもらえることができました。この本は私にできる数少ない「国力復興」貢献だと思っています。できれば、多くのIT技術者の自己実現とスキルアップを支援し、その積み重ねがITという日本が世界に誇るべき能力の底上げにつながることを祈っています。
そして、来年も頑張ります。ご支援を宜しくお願いいたします。