クアルコム、Snpdragon S4 "Pro" プロセッサー、LTEブロードキャスト、第三世代LTEチップに関するリリースを発表
拙著「クアルコムの次世代プラットフォーム戦略2010」で紹介していますクアルコムの新技術に関するフォローです。
2月27日(スペイン時間)、クアルコムが3本のプレスリリース(Snpdragon S4 "Pro" プロセッサー、LTEブロードキャスト、第三世代LTEチップ)を発表したとの連絡が、クアルコムジャパンから有りましたので紹介します。
プレスリリースの要約は以下の通りです。
【1】クアルコムがSnpdragon S4 "Pro" プロセッサーを発表
a) クアルコムはモバイルコンピューティングの可能性を拡大する"Pro" 版Snpdragon(tm) S4 MSM8960プロセッサーを発表しました。
b) S4 "Pro" プロセッサーはAdreno 320 GPUを搭載、より高解像度のディスプレイをサポートし、既に120機種以上の端末が開発されているSnapdragon S4クラスとハードウェアおよびソフトウェアの互換性があります。
c) Adreno 320は最大4倍のパフォーマンス向上を実現する高性能なGPUで、ウェブブラウジング、ゲーム、UI、グラフィックアプリケーションに上質なユーザー体験を提供する事が可能です。
d) Adreno 320は、OpenCLのような新APIを通じて Adreno 320の計算機能を直接利用することでモバイル端末向けのライトフィールドカメラのような次世代ユースケースを可能とするコンピューショナルカメラを含む新たなマルチメディア機能を提供します。
e) 次世代3DグラフィックAPIをサポートすることで、インスタンシング、オクルージョンクエリ、マルチプルレンダリングなどのより進化したレンダリング機能のハードウェアアクセラレーションにより、Adreno 320はよりリアルな3Dグラフィックエフェクトを可能とします。
f) Adreno 320はWindows向けの専用ハードウェアアクセラレータを含み、UnityやEpicなどの主要ゲームエンジンをサポートしています。
g) S4 "Pro" 版MSM8960プロセッサーはWindows 8を含む主要なOSに対応し、2012年下半期に市場に出荷される予定です。
h) 現在までに340機種以上のSnapdragon 端末が出荷され、400機種以上が開発中です。
プレスリリースは以下にて確認する事が可能です。
http://www.qualcomm.com/media/releases/2012/02/27/qualcomm-announces-snapdragon-s4-pro-processor (英語)
【2】クアルコムがMobile World CongressでLTE ブロードキャストをデモンストレーション
a) クアルコムはエリクソン社との協業によりeMBMS(evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と呼ばれるLTEブロードキャストのデモをMobile World Congressのクアルコムブースで行なうことを発表しました。
b) LTEブロードキャストは必要に応じて動的にカバレッジや容量を変更するこが可能で、周波数資源やネットワーク容量を効率的に利用し、ライブコンテンツやソフトウェアなどを効率的に配信可能なスケーラブルなソリューションです。
c) 多くの端末へのソフトウェア更新の配信をオフピーク時に行なったり、ピーク時のスポーツ中継や音楽コンサートのライブ中継のような大容量のデータを必要とする場合には動的にネットワーク容量を拡大することが可能です。
d) クアルコムはエリクソン社のような主要なインフラ機器メーカーと共に通信事業者によるeMBMSの導入を可能にします。
プレスリリースは以下にて確認する事が可能です。
http://www.qualcomm.com/media/releases/2012/02/27/qualcomm-demonstrate-lte-broadcast-mobile-world-congress (英語)
【3】クアルコムLTE-Advancedキャリアアグリゲーションをサポートする第三世代目となるLTEチップセットを発表
a) クアルコムはLTEとして第三世代目となるGobiモデムチップセットMDM9225/MDM9625を2012年第4四半期にサンプル出荷開始することを発表しました。
- サポートする方式
= MDM9225:LTE・UMTS
= MDM9625:LTE・UMTS・CDMA2000
- Category 4(最大150Mbps)をサポートします。
- 複数の無線チャネルを束ねるLTE-Advanced (LTE Release 10)のキャリアアグリゲーションをサポートする最初のチップセットです。
- 28nmプロセスにより性能と消費電力をそれまでのチップセットよりも更に向上しました。
- LTE Advanced (LTE Release 10) とHSPA+ Release 10 (84 MbpsデュアルキャリアHSDPAを含む)に加え、EV-DO Advanced、TD-SCDMA、GSMを方式をサポートします。
- 業界で唯一、一つのベースバンドチップで7方式(cdma20001x, cdma20001xEV-DO、GSM、EDGE、WCDMA, TD-SCDMA、LTE (FDD・TDD両モード))をサポートします。
- MDM9225/MDM9625にはLinuxベースの開発環境とモバイルアクセスポイントソフトウェアスタックに対応するアプリケーションプロセッサが統合されており、メーカーは付加価値の高いアプリケーションを開発することで他社との差別化が可能です。
- クアルコムアセロスのAR6003あるいはAR6004とモバイルアクセスポイントソフトウェアスタックを利用することで、高性能で低消費電力の最大150Mbpsに対応する802.11n Wi-Fiルーターを設計することも可能です。
- 2012年第4四半期にサンプル出荷を開始する予定です。
b) HSPA+ Release 10に対応するMDM8225も2012年第4四半期にサンプル出荷開始予定です。
プレスリリースは以下にて確認する事が可能です。
http://www.qualcomm.com/media/releases/2012/02/27/qualcomm-third-generation-lte-chipsets-are-first-support-hspa-release-10-l (英語)